外構に使える建築資材はバリエーションが広く、人工的な素材から天然素材まで実に様々です。
また、資材には地域性のあるものもあります。
石材などは産地が限定的な場合が少なくありません。
ここで取り上げる花ブロックは沖縄で生まれた資材で、外構部分での使用事例も多いです。
しかし、花ブロックに関して知られていないことも多いだろうと思います。
そこで、ここでは花ブロックのメリットやデメリット、そして価格や施工まで解説しましょう。
花ブロックとは

花ブロックはあまり見かけないようにも思えますが、意外に使われている建材で、外構部分でも案外見られます。
そのため、家の外構作りをこれから考えるならば、花ブロックについても知っておいた方がベターです。
「花ブロックとは何か」について解説していきます。
花ブロックとはどのような材料か
花ブロックとは透かしブロックとも呼ばれるコンクリートブロックです。
空洞の部分があるのが特徴で、その空洞の形状によってデザインを作っています。
一般にブロック塀をはじめとするコンクリート構造物は無味乾燥な場合が多いです。
実際、モダンな雰囲気は作れますが、あまり柔らかくて面白い印象はありません。
しかし、花ブロックを用いれば表情に変化が出て来ます。
平べったいコンクリート構造物に面白さが付加されるのです。
発祥は沖縄
花ブロックは沖縄発祥のコンクリート資材です。
太平洋戦争が終わった後で沖縄の企業がブロックの製造を始めました。
コンクリートブロックの原料はセメントや砂などで、沖縄でも調達が可能です。
しかも製造は小規模の設備でも製造可能ということもあって広がったのです。
その内、ブロックに穴を開けた製品が登場し、その穴にデザイン性が付加されて花ブロックとなった訳です。
ちなみに、沖縄は海に面するために塩害を受ける地域が多く、しかも台風も来ます。
その点、コンクリートは潮風にも耐え台風にも強いです。
沖縄の風土に合ったため発展したと言えそうです。
デザインは100種類にも及ぶ
花ブロックのデザインはバラエティに富み、種類は100にも及ぶと言われています。
昔は単純な形状の空洞だったものが、多くのモチーフを取り入れて作られていったのです。
その中には個性的なタイプもあり、様々な箇所の装飾にも使われます。
ちなみに、ここでは外構に関する部分に絞りますが、花ブロックはインテリアに使われることもあります。
花ブロックの使用例
それでは、花ブロックはどのような場面で使用されているのでしょうか。
ここでは外構に使われる花ブロックを取り上げて解説しましょう。
機能門柱
機能門柱はエクステリアメーカーの販売しているものの他に、現場で作るオリジナルのものもあります。
あるものはレンガを組み立てたり、コンクリート板にタイルを張ったりと、様式は様々です。
そのような機能門柱にも花ブロックを使うケースがあります。
例えば、コンクリートと幾何学文様の花ブロックを使えばモダンな感じになるのです。
ちなみに、花ブロックは門まわりのアクセントとしても使われます。
バルコニー部分
バルコニー部分に花ブロックを使用する場合もあります。
バルコニーは時として冷たく、そっけないデザインであることも少なくありません。
平坦過ぎて面白みに欠ける場合もあるのです。
その点、花ブロックを組み込んだバルコニーはオリジナリティに富みます。
安全の点で問題が無い構造であれば、花ブロックはバルコニーにも問題なく入れられるのです。
駐車スペース
オープン外構の駐車スペースは防犯の点であまり良い状態とはいいにくいです。
しかし、全面を目隠しの塀やフェンスで囲うならば、せっかくのオープン外構が台無しになってしまいます。
その点、花ブロックを使って仕切りを作れば、適度にシースルーなので閉塞感が抑えられます。
その一方で堅固なコンクリート構造なので、防犯性も高くなるのです。
セミクローズ外構に
花ブロックはセミクローズ外構にも使えます。
セミクローズ外構は敷地内を適度に隠しながら開放感を出す外構の形態です。
そのため、適度なシースルー感の資材が必要です。
花ブロックはそのような箇所にマッチします。
なお、花ブロックはコンクリート構造物です。
セミクローズ外構の塀としても強度は十分にあります。
花ブロックのメリット

材料を上手に使うためには、その材料の特性を知らなければいけません。
そのため、メリットとデメリットを把握しておくことは非常に重要と言えます。
花ブロックのメリットにはどのような点があるのでしょうか。
デザイン性に優れる
花ブロックはデザイン性に優れる点がメリットの1つです。
前にも挙げたように、花ブロックのデザインは100種類にも上ります。
昔ながらのタイプもありますが、モダンなデザインのタイプも揃えてあります。
また、複数の違う種類のブロックを組み合わせれば、完全にオリジナルの塀を作ることが可能です。
セミクローズ外構などの場合には、違う種類のブロックと植栽を組み合わせて、変化に富んだ外構も作れます。
ちなみに、花ブロックが生まれた沖縄では外構以外にも多く使われています。
良い例が外壁です。
花ブロックの意匠がビル全体をスタイリッシュにしているとも言えるでしょう。
直射日光を緩和させる
直射日光を緩和させる点も花ブロックのメリットと言えるでしょう。
花ブロックの光が通るのは中央の空洞部分で、それ以外は遮られます。
そのため、日射が入り込む量が大幅に緩和されるのです。
当然、直射日光に含まれる熱線も緩和されます。
なお、日光がどれくらい通すかはブロックのデザインと使い方によっても異なります。
自宅の日射条件に合わせて考えると良いでしょう。
塩害のある地域でも使える
建築資材には塩に弱いものが少なくありません。
例えばスチールの製品。サビが発生しないように、塗装やメッキをかけてありますが、それでもサビが発生してしまいます。
ステンレスも同様です。
腐食に強いとされていますが、腐食しないわけではありません。
その点、コンクリートは腐食しません。
花ブロックも同様で、腐食しないので塩害のある地域でも安心して使えるのです。
ちなみに、花ブロックは沖縄で多く使われています。
四方を海に囲まれた土地で問題なく使われていることが、有力なエビデンスとも言えるでしょう。
風通しが良い
風通しの良い点も花ブロックのメリットと言えるでしょう。
花ブロックの空洞部分は風が通ります。
庭全体の風通しも良くなり、快適になるのです。
その点、完全に目隠しの状態で囲ってしまうと風通しが悪くなり、場合によっては空気がよどむかも知れません。
省エネ効果が狙える
前述のように、花ブロックは空洞の部分で風を通し、適度に日光を抑えます。
日光には熱線が含まれていますが、その熱線までも抑えてくれるので省エネ効果が狙えます。
また、花ブロックにはデザインバリエーションがあり、そのデザインによっても光の量を調整することが可能です。
現場の日射の状態によってデザインの構成を考えれば、その場所に最適なブロックの構成ができるのです。
防犯効果がある
花ブロックは防犯効果も狙えます。
敷地の外から中が見えるので防犯効果が上がるのです。
窃盗や放火などの侵入犯罪を抑えるポイントは、いかに「侵入者を寄せ付けないか」です。
侵入者は発見されることを恐れます。
そのため、敷地の外から見られることを嫌うのです。
その点、花ブロックは空洞部分があるので、塀を作ったとしても塀の向こう側の様子が見えます。
侵入者の立場としては、見られる可能性が出るので嫌うのです。
印象が軽くなる
花ブロックは見た印象が軽くなります。
例えば、塀を作った場合には適度に透けて見えるので、軽い感じになるのです。
ちなみに、敷地全体を一般のブロック塀で囲ってしまうと重装備には見えますが、軽い感じにはなりません。
花ブロックのデメリット
花ブロックの使用にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
次に花ブロックのデメリットについて解説します。
耐震性が低い
耐震性が低い点が花ブロックの大きなデメリットです。
コンクリートブロックは中空部が縦に入っていて、配筋を中に入れることが可能です。
ブロック塀は配筋を入れることが定まっています。
しかし、花ブロックは前後に中空部があるので、ブロックの中に配筋を入れることができません。
そのため、横からの力に弱く耐震性も低くなるのです。
凍害リスクがある
凍害リスクは花ブロックのデメリットの1つです。
コンクリートは水を含む素材ですが、含んでいる水が凍結すると、水が膨張してしまってコンクリートにひびが入ってしまいます。
これを凍害と呼びます。
花ブロックもコンクリート製品です。
水を含んでしまって気温が低下すると、その水の膨張によりひびが入ることがあるのです。
ちなみに、破損してしまったコンクリート製品は修理が簡単ではありません。
コストの問題
花ブロックは一般のコンクリートブロックと比較するとコストは高めです。
そのため、塀などを作る場合には材料費が膨らんでしまいます。
ちなみに、現在流通している花ブロックはほとんどが沖縄のメーカーで作られているものになります。
製造コストに運賃が乗っている点がコストアップの大きな要因になっているのかも知れません。
花ブロックの価格について

ここで花ブロックの価格について取り上げましょう。
価格相場に加え、価格を抑えるポイントについて紹介します。
価格相場
花ブロックの価格は商流によって変わりますが、概ね次の表の通りです。
| 大きさ | 価格 |
|---|---|
| 400角(390mm×390mm) | 2,300円~ |
| 200角(190mm×190mm) | 980円~ |
ちなみに、花ブロックの生産のほとんどは沖縄で行われています。
製品と納品地域によっては、運賃が多額になるかも知れません。
花ブロックの価格を抑えるポイント
次に価格を抑えるポイントを挙げてみましょう。
ブロックの種類を再検討する
花ブロックはブロック全部が同じではありません。
デザインも大きさも違うため、ブロックの価格もケースバイケースとなります。
そのため、価格を抑えようとするならば、ブロックの種類を再検討すると良いでしょう。
別の素材に置き換える
花ブロックを意匠目的に使う場合、花ブロックを別素材に置き換えれば、使用量が減らせてコストダウンを狙えます。
例えば、機能門柱に花ブロックを組み込む場合がありますが、花ブロックをメッシュパネルなどで置き換えれば、価格が抑えられます。
ただし、デザインは全体のコーディネートを考えなければいけません。
安くなるからと言って、安易に素材を変えると安っぽくなるので、使う材料はしっかりと考えましょう。
相見積もりを取る
施工業者によって工事の費用は異なります。
そのため、コストダウンを狙うのであれば相見積もりを取りましょう。
ただ、見積書を見る際に注意すべきなのが明細まで見ることです。
どの部分にどれくらいの費用が掛かっていることを知るために、しっかりと確認をしておきましょう。
なお、相見積もりを取るのは良いのですが、あまりに多くの業者から取ると混乱します。
5社程度に抑えておくと良いと思われます。
花ブロックの施工について

花ブロックは一般のコンクリートブロックの工事とは仕様が違います。
そのため、工事も変えなければいけません。
では、施工はどのようにすれば良いのでしょうか。
花ブロックを設置する上での注意点
まずは設置する上での注意点を挙げてみましょう。
設置は業者が基本的に行いますが、施主の立場としても知っておくべきです。
強度に注意
花ブロックを使う場合には、業者と強度について確認しなければいけません。
特に、塀のような構造物を作る際には注意が必要となるでしょう。
先にも述べたように、花ブロックには配筋が入りません。
そのため、一般的なコンクリートブロックのブロック塀とは完全に違うのです。
ちなみに、ブロック塀の倒壊は非常に危険なので予防しなければいけません。
地震などで仮に倒れて来て下敷きになった場合、大ケガをするかも知れないからです。
高さに注意
塀などを作る場合には高さに注意をしなければいけません。
これは、花ブロックの耐震性が低いためです。
また、塀は高ければそれだけ外力に対して弱くなります。
つまり、高くすれば更に地震に弱くなってしまうため、設置高さには最初から気を付けなければいけないのです。
DIYでの施工について
DIY愛好家には技術レベルの高い人がいて、様々な工事を自前でやってしまいます。
しかし、限界もあるのは確かです。
では、花ブロックのDIY工事は可能なのでしょうか。
可能ではあるが難易度は非常に高い
花ブロックのDIY施工は可能と思われます。
ただし難易度は高いです。
コンクリートブロックはモルタルを使って積み上げる工程は間違いないのですが、この作業が簡単ではありません。
仮に、積み上げ方が不均一の場合、全体が歪むことが多いです。
垂直や水平が出てない場合も案外あり、見た目が悪くなってしまうのです。
そして、一旦積み上げると修正は簡単ではありません。
塀の場合は隣地境界も関係する
隣地境界部分に塀を作る場合、境界線は絶対に出てはいけません。
隣地境界線を越えることは隣家の権利の侵害ともなり、トラブルに発展し得るからです。
では、そのような重要な塀をDIYで作ることは問題ないのでしょうか。
前述のように、DIYの場合は歪んでしまうことも多いです。
そのため、隣地境界線への干渉も考えられます。あまり推奨はできません。
ブロックは重量物
コンクリートブロックは重量物です。
扱い慣れていないと、腰を痛めることが少なくありません。
また、落とす場合もあり得ます。
足の上に落としたら大変です。
DIYでもコンクリートブロックに慣れている人であれば、それほど問題ないかも知れません。
しかし、慣れていない方はケガのリスクも高くなります。
DIY愛好家と専門業者の比較
それでは、DIY愛好家と専門業者ではどのような点が違うのでしょうか。
両者を比較してみましょう。
技術レベルが違う
専門業者とDIYではそもそもの技術レベルが違います。
例えば、専門業者は現場単位で図面を作成することが少なくありません。
図面はCADで細かく描かれ、綿密な計算もされています。
その点、DIY愛好家では作図までする人は少数派と思われます。
今ではフリーのCADもあるので、作図も不可能ではないのですが、それでも専門業者には及びません。
現場対応力が違う
外構工事は実際に着工しなければ分からない場合が少なくありません。
そして、工事の経験が少ない作業者の場合、現場対応が適切にできない場合もあります。
当然ながら、施工の品質が悪くなり、花ブロックのデメリットばかりが目立つ仕上がりになるでしょう。
その点、専門業者であれば場数を踏んでいるので、現場対応力は高いです。
また、材料の特性も熟知しているので、安全性の高い外構を作ります。
ちなみに、コンクリート構造物は出来上がってしまうと、品質が分からない場合も少なくありません。
強度に対する感覚が違う
「安全率」という比率をご存じでしょうか。
工業製品を作る際に使う数字で、「実際に壊れる数値に一定の比率を掛けて使用できる範囲を決めよう」というものです。
例えば、引っ張る力を加えた時に1トンで破壊する素材を、安全を考えて500kgまでで使用を制限しましょう…というものです。
ちなみに、この時の安全率は2倍になります。
これはブロック工事でも同じことが当てはまります。経験豊富な専門業者であれば、台風や地震を考慮して地域に合わせた安全率を考えて施工することでしょう。
しかし、DIY愛好家はそのような配慮が可能とは限らず、危険な工事をしがちです。
これは感覚の違いとも言えるのですが、決定的で重要な違いで、しかも安全性に関わる重大なものなのです。
材料の仕入れ値が違うこともある
材料調達の点でも個人と専門業者では違います。
DIYの目的の1つにコストダウンがあると思います。
外構工事の価格の内訳は製品代と施工費用ですが、その内の施工費用を浮かせようとする訳です。
では、肝心の材料費を買う価格はどれくらいかと考えると、残念ながら、個人ではそれほどの値引きはありません。
これは、発注量が少ないためです。個人の限界と言えるでしょう。
その点、専門業者であれば日頃から大量に手配しています。
価格を抑えることも可能で、材料費を抑えられます。
まとめ
花ブロックと外構について取り上げました。
意識しないと気が付かない資材かも知れませんが、意外に多くのメリットがあることが分かったことでしょう。
これから家を作る人の参考にもなったことと思います。
外構はアイデア次第で可能性が広がりますが、資材の使い方もその内の1つです。
花ブロックの可能性もアイデア次第で決まることでしょう。
花ブロックは魅力的な素材です。
種類や積み方を検討して、オリジナルティの溢れる外構を作ってください。










