外構に使うアイテムは天然素材から工業製品まで様々です。
また、目立つものから目立たないものまで、多くのアイテムが揃っています。

中でも砕石は外構に不可欠の素材です。
庭づくりには欠かせません。

しかし、砕石は目立たないだけに知られていない部分が多いです。

そこで砕石について、メリット・デメリットなど、どのような庭に似合うかを中心に解説します。

砕石とは

砕石とは

砕石とは、クラッシャーと呼ばれる粉砕機を使って岩を砕いた石です。

クラッシャーでは段階的に砕くので、粒の大きさの違いができます。

形状はとがった部分があり、全体的にゴツゴツしています。
これは砂利とは違う点。砂利は丸みを帯びている形状です。

また、砕石は上から強い力で押すと固く締まる特性があります。
これは砕石の角の部分が他の石の隙間や地面に食い込むためです。

砂利では丸いため、このような効果はあまり期待できません。

主な用途は土木資材や建築資です。
用途によって粒の大きさを変えて使用します。

砕石の種類

ここでは砕石の種類を紹介します。

砕石はクラッシャーで岩を砕いたものなので、割れた際には大きな粒と小さな粒ができます。

また、砕くものの種類によって素材的な違いも発生します。

砕石の種類はその粒の大きさや素材的な違いからの区分です。

クラッシャーラン

砕石は石をクラッシャーにて粉砕して作ります。

クラッシャーランは粉砕しただけの石で、粒の大きさは細かくは分類されていません。
そのため、粒のバラつきは非常に大きいです。

管理は粒の最大サイズで「40~0」「30~0」「20~0」というようになっています。

また、クラッシャーランは砕いただけなので価格はリーズナブルです。

コストを優先させたい場所にはおすすめの砕石です。

粒度調整砕石

粒度調整砕石は粒をそろえた砕石です。
クラッシャーで石を砕き、粒を一定のサイズに整えて作ります。

この砕石の大きな特徴は「締め固めた時の強度」です。

砕石は敷いた後で上から強い力を掛けると締まる特性がありますが、粒度調整砕石はその強度が高くなります。
そのため、道路の舗装などの用途に使われるケースが多いです。

なお、価格は他の砕石に比べて、比較的高めです。

単粒度砕石

単粒度砕石は粒の大きさが細かく規定された砕石です。

砕石後にふるいに掛けて粒を調整して作ります。

砕石の特徴として「締め固まる」点がありますが、この砕石は強い力で押しても固まりません。

用途としては、コンクリートの材料やアスファルト舗装に使われます。

再生砕石

再生砕石はコンクリートやアスファルトを再利用する砕石です。

一般の砕石は自然から取りますが、再生砕石はビルなどの解体で発生したコンクリート塊などをクラッシャーにかけて粉砕して作ります。

新しい岩を使わないので、環境にやさしい素材とも言えるでしょう。

再生粒度調整砕石

再生粒度調整砕石は再生砕石の粒度を規定する大きさに合わせて調整したものです。

支持力(地盤が支えることのできる力)に優れるメリットがあります。

割栗石

割栗石とは砕石の中でも大きいもので、10~20cmの径を持つものです。
主に、住宅などの基礎の下に敷かれます。

割栗石はその形状から別の用途として使われることも多いです。

外構では、そのゴツゴツした形状による説得力を活かして配置します。
そうすると、庭に乾燥したテイストが加わり、一般の庭とは違ったテイストを醸し出すことが可能となるのです。

砕石と砂利との違いについて

砕石と砂利は同じ小さな石なので混同されがちです。

しかし、砕石と砂利は似ているようで違います。

そこで、ここでは砂利と砕石の違いについて取り上げましょう。

砂利との形状・大きさの違い

砂利の形状は丸み帯びたフォルムです。

表面は多少の凹凸があるものの、スベスベであるケースが多いです。

その点、砕石は尖った角のある形状が特徴で、表面もゴツゴツと荒れています。

また、大きさは砂利も粒の調整は行っていますが、砕石は基本的には不揃いでクラッシャーランのように大きさが0からのものもあります。

その点、砂利は大きさが0のものは基本的にはありません。

砂利との作られ方の違い

砕石と砂利は作られ方が完全に異なります。

前述のように、砕石はクラッシャーによって粉砕された石です。
つまり、人の加工によって作られた製品です。

それに対し、砂利は天然の産物で、海や川などから採って製品としています。

ちなみに、砂利が丸いフォルムをしているのは、川や海などで転がる内に角が取れたと言います。

砂利との色の違い

砕石の色はグレー系が多いです。
色を揃えているものもありますが、どちらかというと不揃いです。

その一方で、砂利は色がはっきりしているケースが多く、装飾に向いています。

例えば、白玉砂利は白で統一されています。

また、砂利は雨に濡れると色が落ち着くものが多いです。

赤玉砂利はその代表で、乾燥時にはテラコッタ調の雰囲気なのですが、雨に濡れるとシックな光沢を帯びます。

砂利との用途の違い

砂利と砕石では基本的な用途も異なります。
砂利はガーデニングのような「見える部分」に使われる場合が多いです。

例えば、白玉砂利や赤玉砂利などは意匠性の高い砂利なので、庭の見える部分に使われます。

その一方で、砕石は圧力を掛けると固まるので、鉄道のレール部分に使われたり、コンクリートの骨材に使われたりします。

ただ、砕石の用途はそれだけではありません。
目に付く場所に使われる場合も多いです。

例えば、割栗石などはその持ち味から敢えて目出す場所に置かれます。

庭としてはロックガーデンなどに使われる場合が多いです。

外構に砕石を使うメリット

外構に砕石を使うメリット

ここで外構に砕石を使うメリットとデメリットを挙げてみます。

まずはメリットを取り上げましょう。

コストが抑えられる

砕石の大きな特徴はコストパフォーマンスに優れる点です。

使用する砕石にもよりますが、厚さ5cmで1㎡とする場合には300円くらいで済みます。

その一方で、砂利を敷いた場合には1㎡あたり1,000円程度の費用が必要です。

ちなみに、コストを抑える目的で敷く量を減らしてしまうと、早い内に地面が見えてしまいます。

その場合は足す必要がありますが、費用も手間も掛かるので、量を減らすことはあまりおすすめできません。

締りやすい

前述のように砕石は強い力で押すと固まる特性があります。

これは砕石の持つ大きなメリットです。

良い例が鉄道のレールに敷かれるケースです。
締まる特性から、列車が通っても崩れずに使えます。

ちなみに、線路の長さを考えるならば非常に大量の砕石を使います。

列車の重量に耐えながらコストを抑えられるのは、砕石ならではと言えそうです。

外構に砕石を使うデメリット

砕石を使用するのもメリットばかりではありません。

次にデメリットを挙げてみます。

バリエーションが少ない

砕石のデメリットはバリエーションが少ない点です。

粒の大きさのバリエーションはあるのですが、砂利のように色が揃っている訳ではありません。

例えば、砂利には白玉砂利をはじめとする色調のバリエーションがあります。
そのため、空間演出のバリエーションも多いのですが、砕石はそのようにいかないのです。

デザインにも制限が発生し、使える範囲が限られるのです。

水が溜まりやすい

水が溜まりやすい点もデメリットと言えるでしょう。

外構部分は通路にもなるので、水溜まりができやすいのは良くありません。
場合にもよりますが、雨天に衣服を汚してしまうからです。
そのため、使えるスペースは限られます。

その点、砂利であれば水はけが良いので水溜まりができにくく、衣服を汚す可能性も低いです。

砕石を選ぶ上でのポイント

砕石はデザインのバリエーションが少ないとは言え、粒の大きさが異なります。
しかし庭にも種類があり、それぞれが違ったテイストを持ちます。

では、どのような庭にどのような砕石が似合うのでしょうか。

ここでは、砕石選びのポイントについて解説していきます。

用途

まずは用途が挙げられます。

例えば、玄関アプローチ部分のような通路となる部分、植栽まわりの部分、勝手口まわりの部分などです。

また、これらは用途が異なります。
通路は人が通りますし、植栽はデザイン目的、勝手口まわりは防犯性が必要などです。

そして、これらの用途によって砕石も変えるべきです。
歩きやすい砕石、見た目の良い砕石、防犯性が狙える砕石、というイメージで選ぶと良いでしょう。

粒の大きさ

砕石をデザインの観点から考えるならば、「粒の大きさ」がポイントとなります。

粒が大きければ存在感も大きくなりますし、小さければ目立たなくなります。
存在感を感じさせたい場所に存在感のあるものを選び、そうでない場所には小さいものを使えば良いのです。

例えば、割栗石は大きいので存在感は満点なので、ロックガーデンでの活用がおすすめです。

その一方で小さい粒であれば、自然が満喫できるようなナチュラルガーデンが周囲に溶け込みます。

コスト

砕石はコストが抑えられるため、コストダウン目的として使われる場合も十分にあります。

目立たない部分であれば、目立たない砕石を使えばコストパフォーマンスが向上することでしょう。

どのような庭にどのような砕石が合うか

どのような庭にどのような砕石が合うか

それでは、どのような庭にどのような砕石が合うのでしょうか。

ケース別に挙げてみましょう。

日本庭園

日本庭園は日本の伝統的なスタイルの庭です。
和風庭園と呼ばれることもあります。

日本庭園の特徴は石材をはじめとする天然素材を積極的に取り入れている点です。
また、全体的には流れるような曲線を使います。

庭にもよりますが、ししおどしなどを取り入れて風流を演出します。

砕石として使う場合には脇役に徹する方が良いです。
粒を小さめにして均一化された単粒度砕石が良いでしょう。

ちなみに、他のエクステリアを使うならば、やはり和風のものを選ぶべきです。

門扉やフェンスには和に徹したタイプも多いので、そちらを選ぶと良いでしょう。

雑木の庭

雑木の庭は自然の雑木林のテイストを醸し出す庭です。
この庭は「山里の家の庭」の持つ癒しの要素に満ちています。

周囲はうっそうと茂りながらも、どこか心が落ち着ける場所のような雰囲気を再現する庭です。
そのため、植栽は背の高さを超えるようなものを使うことが多いです。

なお、砕石を使う場合には、雑木林をイメージしているのでナチュラルなものが多いです。

また、砕石に併せて砂利を併用するのもおすすめです。

和モダン

和モダンの庭は特に人気を集めているテイストの1つです。

例えば、インテリアについて「和モダン」というキーワードで調べると、和のテイストを活かしながらモダンな雰囲気をたたえるおしゃれな造形が目に飛び込んで来ることでしょう。

外構もその通りで、シャープなエクステリアに和の味わいを加えると、何とも言えない雰囲気が醸し出されます。

そのような和モダンの外構ですが、やはり和のテイストを持つ素材がマッチします。
基本的には砂利を使い、砕石は脇役に回した方が良いでしょう。

使用する砕石は山砕石がおすすめです。

ナチュラルガーデン

ナチュラルガーデンは自然の植物を楽しむ庭です。
植栽を敢えてランダムに配置するなどして、自然の状態を楽しめるように庭を造ります。

四季折々の風情の変化を楽しむことが可能なので、自然を特に好む人におすすめの庭です。

砕石を使う場合には自然を念頭に置くので山砕石がおすすめです。

変化を作るために、ポイント的に割栗石を置くと面白くなるでしょう。

ジャンクガーデン

ジャンクガーデンはガラクタを寄せ集めたような風貌の庭です。
近年になって人気の出て来たスタイルと言えます。

ジャンクガーデンは単にガラクタを寄せ集めるのではありません。
アイデア次第ではありますが、並べるものは考えなければいけないのです。

シェードガーデン

シェードガーデンは日陰の部分に作る庭です。

庭で植物を育てる場合には、基本的には日当たりが良い方が好ましいです。
しかし、実際の土地事情を考えるならば、日当たりの良くない場所に庭を作らなければいけないことが多々あります。
シェードガーデンはそのような場所に作るのです。

シェードガーデンへの砕石の使用ですが、基本的には日陰の位置になるのでコスト優先で構わないと思われます。
ただし、面白みを出すために割栗石を使うのも良いでしょう。

ドライガーデン

ドライガーデンは地中海やアメリカ西海岸の温かい地域をイメージした庭です。

日本のナチュラルな庭は湿潤の気候の植栽を使いますが、ドライガーデンの場合はサボテンをはじめとした植物を使い、暑い雰囲気を作ります。

砕石としては、乾燥した雰囲気の演出がおすすめです。
クラッシャーランや割栗石を使うとよく合うでしょう。

リゾートガーデン

リゾートガーデンとは、その名の通りリゾート地のテイストを持たせる庭を指します。

ホテルの庭を思い起こさせるような庭なので、おしゃれな雰囲気を楽しめます。

植栽は高いものを使うことも多いのですが、状況に合わせて低木も使います。

なお、利用する砕石をしては割栗石がおすすめです。
あまり細かい砕石を敷くと、せっかくのリゾートの気分が台無しになってしまいます。

割栗石の形状の面白さを利用して、リゾート気分を演出しましょう。

ロックガーデン

ロックガーデンは岩場の雰囲気を持つ庭です。

ゴツゴツとした無味乾燥な雰囲気を逆に利用して面白みを作っています。

植栽はあまり使わずに、「石の面白さ」を味わうとも言えるでしょう。

ロックガーデンに使う石ですが、やはり割栗石を中心としてクラッシャーランを使います。

割栗石とクラッシャーランを配置すればゴツゴツとした場所が再現できるので面白いでしょう。

防犯用途としての砕石

防犯用途としての砕石

日本は安全な国と呼ばれますが、それでも犯罪は多発しているため決して油断はできません。

外構部分も例外ではなく、防犯対策が不可欠となっています。

砕石が防犯対策に役立つことをご存じでしょうか。
実は、砕石は防犯効果が期待されているのです。

そこで、防犯用途としての砕石についても取り上げます。

なぜ防犯に有効か

砕石が防犯に有効なのは、その上を歩いた時に音が鳴るからです。

通路などに砕石を敷き、その上を歩くと「ジャリジャリ」という音が鳴ります。
この音によって不審者に侵入を家人に知らせるのです。

また、窃盗犯は侵入前に現場を下見すると言われます。
その際に侵入経路を確認するのですが、砕石を敷いておけば「音が鳴る」ことを知らしめることが可能であり、侵入者を諦めさせることができるのです。

防犯用途としての砕石の選び方

防犯のためには音を立てなければいけないので、大きめで角張った形状が良いです。
角張っていれば、角の部分が擦れて大きな音が出るからです。

ただし、大きさによっては歩きにくくなるので、場所によって大きさを変えるべきでしょう。

まとめ

砕石について取り上げました。

砕石がどのようなものか、砂利との違いは何であるかが分かったことと思います。

また、砕石に合う庭も挙げたので、実際的な使用法もイメージできたのではないでしょうか。

外構はアイデア次第で可能性は大きく広がります。

砕石の使い方もその通りです。

アイデアを出して、より面白い庭を作りましょう。