街を歩いていると、新築住宅なのになぜか庭や駐車場などの外まわり(外構)が土のままになっている家を見かけたことはないでしょうか。
「せっかく新しい家を建てたのに、どうして外構をやっていないのだろう?」と不思議に思う方も多いと思います。
実は、家づくりにおいて建物の工事だけを先に終わらせて、外構工事を後回しにするケースは決して珍しいことではありません。
そこには家づくりならではの予算の都合やスケジュール上の理由など、さまざまな理由が隠されています。
この記事では、新築なのに外構をやっていない家が存在する理由から、そのまま放置した場合に起こるデメリット、生活するうえで最低限やっておくべき対策について徹底解説します。
外構をやっていない家を見かけるのはなぜ?
新築の家が立ち並ぶ住宅街で、家本体は完成しているのに周囲が手つかずのままになっている光景は意外にもよく見られます。
これは計画的にそのようにしている場合もあれば、やむを得ない事情でそのままになってしまっている場合もあります。
家づくりは人生で最も大きな買い物とも言われ、そのためどうしても生活の基盤となる「建物」に関する打ち合わせが優先され、家の外側の計画は後手に回りがちです。
なぜこのような状況が生まれてしまうのか、現在の家づくりの現状と背景から考えていきましょう。
外構工事が後回しにされやすい理由
住宅メーカーとの契約段階では、外構費用は概算としておおまかな金額しか見積もられていないことがほとんどです。
建物の打ち合わせが進むにつれてオプション費用が膨らみ、いざ外構の詳細を決める段階になって「予算が足りない」と気づくケースが多発します。
このような家づくり特有の進め方が、外構工事が後回しにされやすい一番の理由です。
また、家づくりを進める際に間取りや内装、キッチンなどの住宅設備を決めることに多くの時間と労力が割かれます。
その結果、外構の打ち合わせが始まる頃にはすでに施主(家を建てる人)が疲れ切ってしまっていることも少なくありません。
外構をやっていない家の5つの理由
外構をやっていない家には、外から見ただけではわからない各ご家庭の事情があります。
決して「やりたくないからやっていない」というわけではなく、明確な理由があって現状のままになっていることがほとんどです。
ここでは新築の家で外構工事が後回しになったり、ストップしたりしている主な理由を5つのパターンに分けて詳しく解説します。
建物の建築費用で予算を使い切ってしまった
外構をやらない理由として圧倒的に多いのが資金面の問題です。
家づくりを進める中で、「お風呂を広くしたい」「キッチンのグレードを上げたい」「床材にこだわりたい」と要望を詰め込んでいくと、あっという間に建物の建築費用は跳ね上がります。
全体の予算が決まっている中で建物にお金をかけすぎた結果、最終的に外構に回すはずだった予算が底をついてしまうのです。
「とりあえず住むことはできるから、外構は貯金が貯まってから数年後にやろう」と決断せざるを得ないのが実情です。
住んでから必要な設備をじっくり検討したい
図面の上だけで庭の広さや駐車場の使い勝手を想像するのは非常に難しいため、あえて計画的に外構工事を後回しにするケースもあります。
「自転車はどこに置くか」「洗濯物はどこに干すのが一番乾きやすいか」「外からの視線はどの程度気になるか」といったことは、実際にその家で生活を始めてから考えが変わることも少なくありません。
そのため無駄な工事や失敗を防ぐために、まずは生活動線を確認してから本当に必要な外構設備をじっくり検討したいと考える人もいます。
外構専門業者を比較検討していて時間がかかっている
家を建てた際のハウスメーカーや工務店にそのまま外構を依頼せず、自分たちで理想の外構専門の業者を探したいという方も少なくありません。
外構費用を少しでも安く抑えるために、複数の業者から見積もりをとって比較検討をするのは賢い方法です。
しかし、業者を探して打ち合わせをし、プランと見積もりを出してもらうには1社あたり数週間程度の時間が必要です。
3〜4社と比較検討して迷っているうちに建物の引き渡し日や引っ越しの時期が来てしまい、結果として外構がない状態で住み始めてしまったというケースも多いのです。
隣の家の工事が終わるのを待っている
自分の家は完成していてもすぐ隣の土地でまだ家を建築中だったり、これから建築が始まる予定だったりする場合があります。
このような状況で先に外構工事、特に境界線のフェンスやブロックの工事を始めてしまうと隣の家の工事車両が出入りする際に邪魔になったり、最悪の場合は重機が当たってフェンスが破損するリスクがあります。
そのためご近所トラブルを避けるために、隣の家の工事が落ち着くまであえて待っているというケースです。
外構にお金をかける必要性を感じていない
家の中の生活空間には強いこだわりがあっても、家の外側にはまったく興味がないという人もいます。
「車さえ停められれば土のままでも構わない」と考え、機能さえ果たせればそれで十分という価値観の方も少なくありません。
外構工事には数百万円単位の大きなお金がかかることが一般的なので、そこに多額の費用を投じるくらいなら旅行や趣味、子どもの教育費など別のことにお金を使いたいと考えて割り切っているケースもあります。
外構を放置することによる7つのデメリット
意図的であれ予算の都合であれ、外構を安易に考えて長期間放置してしまうと、思わぬ後悔につながる可能性があります。
晴れている日や住み始めのうちは気にならなくても、生活を続けていくうちに徐々にストレスを感じる場面が増えていくのが現実です。
ここでは、外構をやっていないことで生じる7つのデメリットについて解説します。
雨の日に泥がはねて建物や車が汚れる
土がむき出しのまま放置することで、雨の日に地面に強い雨が降った際に泥水がはね返ります。
この泥はねによって、せっかく新築した家のきれいな外壁の基礎部分が泥だらけになってしまいます。
また、駐車スペースが土の場合も停めている車の下部やボディにも泥水が激しくはねて汚れがつくため、車をきれいに保つのが非常に難しくなります。
泥や砂で玄関周りが常に汚れてしまう
雨の日に土の地面を歩くと、当然ながら靴の裏にはべっとりと泥が付きます。
その靴のまま玄関に入れば玄関のタイルやコンクリートが泥だらけになってしまいます。
特に粘土質の土壌の場合は靴裏の溝に泥が深く入り込み、玄関マットで拭いても簡単には落ちません。
泥が乾くと砂ぼこりとなって玄関から廊下、さらには室内へと上がってきてしまうこともあります。
毎日仕事や学校から帰宅するたびに玄関の掃除をしなければならないのは、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。
雑草がすぐに生えてきて草むしりが大変
土がむき出しの庭を放置しておくと、春から夏にかけて驚くべきスピードで雑草が生い茂ります。
雑草の生命力は非常に強く、抜いても抜いても次から次へと新しい芽が出てきます。
休日のたびに炎天下で汗だくになりながら草むしりをしなければならないのは、想像以上の重労働です。
また、雑草を放置すると蚊やムカデ、クモなどの害虫が大量に発生する温床にもなり生活にも大きな影響を与えます。
防犯対策が弱く不審者に狙われやすくなる
外構が整備されていない家は周囲からの境界が曖昧になり、敷地内に立ち入りやすいオープンすぎる状態になります。
門扉やフェンスがないため、不審者が玄関の目の前まで容易に近づけてしまいます。
道路や隣の家から生活スペースが丸見え
家の周りにブロック塀や目隠しとなるフェンス、生垣といった樹木などがない状態では、道路を歩いている人や隣の家からリビングの窓や庭の様子が丸見えになってしまいます。
また、防犯砂利やセンサーライトなどの防犯設備がないと、空き巣などの犯罪者に狙われるリスクが高まります。
視線が気になってしまい、日中でもカーテンを閉めっぱなしにして生活しなければならず、せっかくの開放感のある窓が台無しになります。
また、庭で子どもを遊ばせたりバーベキューを楽しもうとしても、周囲からの目が気になって心からくつろぐことができません。
プライバシーの確保は快適な生活において非常に重要です。
せっかくの新築が安っぽく見える
家そのものはどれだけ立派でデザイン性の高い建物を建てたとしても、周囲の地面が土のままだとどうしても「工事の途中で放置されている家」という印象を与えてしまいます。
家というものは、建物と外構(庭や駐車場)がセットになって初めて一つの完成された風景になります。
外構が手つかずの状態ではせっかくの新築の魅力が半減してしまい、全体的に安っぽい雰囲気や寂しい印象になってしまうため非常にもったいないです。
敷地内の土や砂利が道路や隣家に流れてしまう
敷地内の土がむき出しになっていると、台風などで大雨が降った際や強風が吹いた場合に、土や砂が道路や隣の家の敷地に流れ出てしまうことがあります。
道路を泥で汚してしまったり隣の家の車に砂ぼこりをかけてしまったりすると、近隣住民とのトラブルにつながりかねません。
特に新しく引っ越してきたばかりのタイミングで近隣住民とトラブルを起こしてしまうと、その後何十年という生活も非常に気まずいものになってしまいます。
外構を後回しにする場合の3つのメリット
ここまで外構をやらないことのデメリットを強調してきましたが、実は計画的に外構工事を後回しにすることによる明確なメリットも存在します。
ライフスタイルや予算の状況によっては、あえて外構工事を遅らせるという選択が正解になることもあります。
ここでは、外構を後回しにすることで得られる3つのメリットについて解説します。
新居の完成から引っ越しまでの期間を短縮できる
外構工事には、規模にもよりますが数週間から1ヶ月程度の工期がかかります。
建物の完成後に引き続き外構工事を行う場合、その工事が終わるのを待ってからでないと引っ越しができません。
しかし、外構工事を後回しにすれば建物の引き渡しが終わったその日からすぐに入居することができます。
今の住まいから引っ越しのタイミングが迫っている場合や子どもの転校のタイミングなどで、「どうしてもこの日までに引っ越したい」という締め切りがある場合には、期間を大幅に短縮できることが大きなメリットとなります。
実際の生活動線を確認してから使いやすい庭を作れる
図面や想像だけで理想の外構計画を完璧に立てるのはプロでも難しいでしょう。
外構を後回しにして一度住み始めてみることで、「車からの荷物の出し入れはここを通る」「雨の日に自転車を置くならここが良い」といった、リアルな生活動線や問題点が見えてきます。
実際に生活してみて感じた「不便なポイント」を解消するように外構のデザインや設備を決めていくことで、無駄がなく使い勝手の良い庭や駐車場を完成させることができます。
まとまった資金が貯まるまで支払いを先延ばしにできる
新築時は家具や家電の購入、引っ越し費用など建物以外にも何かとお金がかかります。
そこに数百万円の外構費用がのしかかってくると家計は非常に苦しくなります。
外構工事を少しだけ先延ばしすることで、当面の資金繰りに余裕を持たせることができます。
生活が落ち着きまとまった資金が入ったタイミングで工事を行えば、予算の都合で妥協することなく自分たちが本当に理想とする外構を実現できる可能性が高まります。
予算がなくても最低限やっておくべき4つの外構工事
外構工事を後回しにするメリットがあるとはいえ、すべてを手つかずのまま放置するのは日常生活を考えると大きな負担になります。
外構工事の中には最低限やっておかないと生活が成り立たなくなる可能性がある工事もあるので注意が必要です。
ここでは快適に住み始めるために、新築時に最低限やっておくべき4つの外構工事について解説します。
郵便物を受け取るためのポストと表札
ポスト(郵便受け)がないと、日々の郵便物や新聞、重要な書類を受け取ることができません。
雨の日に大事な手紙が濡れてしまったり、風で飛んでいってしまったりする恐れがあります。
また、表札がないと宅配業者が家を見つけられずに荷物の配達が遅れる原因になります。
立派な門柱を建てる必要はありませんが、地面に直接立てるポールタイプのポストや外壁に直接取り付けるタイプのもので構わないので、生活インフラとしてポストと表札だけは必ず設置しましょう。
車を停める駐車スペースの舗装
車を所有している場合は駐車スペースの舗装が必須です。
土のままの駐車場に車を停めると雨の日にはタイヤがぬかるみにはまって車を出せなくなったり、泥はねで車がひどく汚れたりします。
予算を抑えるなら、コンクリートだけでなく砕石(細かく砕いた石)を敷き詰めるだけでもぬかるみや泥はねを大幅に軽減できます。
車の乗り降りで毎日使う場所だからこそ、足元が汚れない最低限の舗装はしておきましょう。
道路から玄関までを歩きやすくするアプローチ
敷地の入り口から玄関のドアまでの通り道を「アプローチ」と呼びます。
ここが土のままだと靴に泥がつきやすく玄関の中まで汚れてしまいます。
飛び石を置いたりレンガを敷いたり、あるいはコンクリートを流し込むことで雨の日でも靴を汚さずに歩ける動線を一本作っておきましょう。
アプローチを整備すれば家に入る時のストレスが減るだけでなく、外観の印象も少し整って見えます。
境界線を明確にするための隣地とのフェンスやブロック
隣の家との境界線があいまいだと、「どこまでが自分の土地で、どこからが相手の土地か」で将来的にトラブルになるリスクがあります。
特に土が流れ出たり、雑草が越境したりすると揉め事の原因になりやすいです。
高い目隠しフェンスである必要はないので、境界線に沿って低いコンクリートブロックを1〜2段積むか、安価なメッシュフェンスを立てるだけでもご近所トラブルを未然に防ぐことができます。
自分でできる一時的な3つの外構対策
「最低限の工事すら頼む予算がない」「とりあえず入居してしまったけれど、泥や雑草の被害がひどくて困っている」という場合、あくまで一時しのぎの方法ですが自分たちでできる応急処置があります。
週末の休みを利用して、ホームセンターで買える材料でできる3つの外構対策をご紹介します。
防草シートと砂利敷きで雑草と泥はねを防ぐ
雑草と泥はねの対策として最も効果的で簡単なのが防草シートと砂利の組み合わせです。
ホームセンターでロール状の防草シートを買ってきて地面に広げ、ピンで固定します。
その上から安い砂利を敷き詰めるだけです。
防草シートが日光を遮断するため雑草が生えにくくなり、草むしりの手間が激減します。
また、砂利がクッションになるため雨の日の泥はねも防げます。
広範囲にやると材料費や運搬の手間がかかりますが、家の裏側や建物の周囲の狭い通路だけでもやっておくと非常に効果的です。
ホームセンターの簡易フェンスで視線を遮る
道路や隣の家からの視線が気になってカーテンが開けられない場合は、置くだけの簡易フェンスやラティス(木製の格子状の柵)を活用しましょう。
また、プランターボックス(植木鉢を入れる箱)が土台になっていて、そこにフェンスがくっついている商品などがホームセンターやネット通販で売られています。
これを視線が気になる窓の前に置くだけでも適度な目隠しになります。
簡易的な工事なので、将来本格的な外構工事をするときには簡単に移動させることができます。
センサーライトを設置して夜間の防犯性を高める
外構が暗くて防犯面が不安な場合は人感センサー付きのライトを設置しましょう。
人が近づくとパッと明るく点灯するため不審者を威嚇する効果が高く、空き巣対策として非常に有効です。
電気配線の工事が不要な乾電池式や、太陽光で充電するソーラーパネル式のセンサーライトであれば、自分で簡単に雨どいやフェンスの柱に巻き付けて設置できます。
夜間に帰宅した際にも足元を明るく照らしてくれるため、安全面でも役立ちます。
新築計画時にやっておくべき将来の外構のための3つの準備
外構を後からやると決めた場合でも、新築計画時に何も考えなくて良いわけではありません。
いざ外構工事を始めようとしたときに、「建物の構造が邪魔で希望の設備がつけられない」「余計な追加費用がかかってしまう」という事態に陥ることがあります。
将来の庭づくりをスムーズに進めるためにも、家を建てる段階で「外構のための仕込み」をしておくことが重要です。
新築計画時に事前にやっておきたい3つの準備について解説します。
将来カーポートや照明をつけるための配管や配線を決めておく
将来的に車庫にカーポートを設置したり、庭の木を照らす照明や電気自動車の充電コンセントをつけたりする予定がある場合は、電気の配線や配管について事前に計画しておきましょう。
もし後からコンクリートの駐車場を突き破って配線を通そうとすると、コンクリートを割るための多大な追加費用がかかります。
新築時に「将来ここへカーポートと照明を設置したい」とある程度の計画を伝えておき、外構工事のための準備をしておきましょう。
室外機や給湯器は外構を想定して設置する
家の外周りに設置されるエアコンの室外機やエコキュートなどの大きな給湯器の配置場所は、外構計画に大きな影響を与えます。
例えば、「将来リビングの前にウッドデッキを作りたい」と考えている場所に室外機が置かれてしまっていると、室外機を移動させるために追加の配管工事が必要になり無駄な出費になります。
将来どのような庭や設備を作りたいかを大まかにイメージし、その邪魔にならない家の裏側や端のほうに室外機や給湯器を配置してもらうよう、建築前に調整することが大切です。
駐車スペースを考慮して水道メーターやマスを設置する
建物の工事の際、敷地内には水道メーターのボックスや排水のための「マス」と呼ばれる丸いプラスチックのフタが地面に埋め込まれます。
このマスの位置が将来の駐車場のタイヤが乗る位置や、門柱を立てたい場所のど真ん中に来てしまうのを避ける必要があります。
マスの上に重い車が乗ると割れてしまう危険性があり、最悪の場合門柱の基礎を作れなく可能性があるのです。
図面上で車の位置を想定し、タイヤが乗らない端のほうにマスを配置してもらうよう指示しておきましょう。
まとめ
新築の家で外構工事が後回しになるのは予算オーバーやスケジュールの都合など、家づくりならではの避けられない事情があるためです。
外構をやっていない家は決して珍しいものではありませんし、住み始めてからじっくり計画を立てられるというメリットがあるのも事実です。
しかし、土がむき出しのまま長期間放置してしまうと泥はねで家や車が汚れ、雑草の処理に追われたり防犯面でも不安を抱えたまま生活することになります。
まずは、ポストや駐車スペースなど「生活に最低限必要な機能」を整えることから始めましょう。
予算が厳しい場合は防草シートや簡易フェンスなど、自分でできる応急処置を施すだけでも生活の質は大きく改善します。
そして資金といった将来の計画の目処が立ったら、本格的な外構計画をスタートさせてください。
複数の専門業者を比較検討して賢く費用を抑えながら、ご家族が笑顔で快適に過ごせる素晴らしい住環境を完成させていきましょう。











