不動産価格の高騰から、住宅購入に妥協をせざるを得えないケースが見られます。
ある人は新築を諦めて中古を買ったり、狭い土地の住宅に決めたりすることでしょう。
そして、そこには少なからぬフラストレーションがあるものと思われます。
そこで求められるのが土地活用のアイテム。狭い土地を有効活用して広く使う手段です。
カーポートバルコニーは、まさにその手段と言えます。
狭い土地を広く使うのに恰好のエクステリアです。
ここではカーポートバルコニーについて、メリットとデメリットを中心に解説します。
どのような製品かイメージが掴めることでしょう。
カーポートバルコニーとは
まずはカーポートバルコニーとはどんなエクステリア製品かを解説しましょう。
カーポートとバルコニーを組み合わせたアイテム
カーポートバルコニーとは、その名の通りカーポートとバルコニーを組み合わせたアイテムです。
カーポートの屋根部分がバルコニーになっており、ユーティリティスペースとして使えます。
種類としては、躯体に設置せずに独立させて使用する独立タイプと、住宅の壁付けの接続する壁付けタイプがあります。
また、土地の形状にも合わせた納まりも可能ですし、バルコニー部分のデザインも豊富です。
従来のカーポートの屋根の上はデッドスペースと言えるかも知れません。
カーポートバルコニーは、このデッドスペースを上手に活用したアイテムと呼べるでしょう。
ウッドデッキのようにも使える
カーポートバルコニーのバルコニー部分にはデッキ材が組み込んでいますが、その製品の中には人工木のデッキ材もあります。
そのため、バルコニー部分はウッドデッキのように使うことも可能です。
ウッドデッキは趣味のスペースとして、または子供の遊び場として使える製品です。
カーポートバルコニーは、休日には読書を楽しんだり、子供と遊んだりと、より充実した時間を作ることができます。
カーポートバルコニーのメリット

次に、カーポートバルコニーのメリットとデメリットについて解説します。
土地の有効活用が可能
カーポートバルコニーは土地の有効活用が可能です。
土地の価格が高い地域では価値のあるエクステリア製品と言えます。
カーポートバルコニーはカーポートの屋根部分がユーティリティスペースになるので、活用できるスペースは広いです。
製品のサイズにもよりますが、実際の面積としては17~30㎡程度の活用が可能です。
30㎡というと、だいたい18畳にもなる広さがあるので、趣味のスペースとしても、子供の遊び場としても、広さは十分です。
開放感のある居室が作れる
カーポートバルコニーはカーポートの屋根上の有効活用だけがメリットではありません。設置する部分の居室を開放的にする効果もあるのです。
壁付けタイプは窓サッシと連続して設置するのですが、居室からはバルコニー部分の面積が増えたように見えるので、開放感のある居室ができます。
敷地面積のあまりない土地に建てた住宅の部屋は、狭いために圧迫感を感じるケースが少なくありません。
カーポートバルコニーはそのような状況を変えるアイテムとも言えるでしょう。
プライバシー確保に役立つ
敷地の道路側に窓がある住宅の場合、敷地の外から2階の居室内が見えてしまうケースがあります。
この状態はプライバシー保護の点で問題です。
しかし、カーポートバルコニーがあれば、バルコニー部分の手すりが隠すので2階の居室までは見えません。
プライバシー保護の点でも役立つのです。
ちなみに、居室内が見えてしまうことは防犯上の観点からも望ましくはありません。
その点、プライバシーを保護するカーポートバルコニーは防犯にも有用です。
趣味の空間となる
前述のように、カーポートバルコニーはユーティリティスペースになります。
この空間は物干しをするバルコニーとして使うだけでなく、趣味を楽しむ空間としても使えます。
ウッドデッキのように、コーヒーを楽しみながら読書ができる空間にも使えます。
また、知人を招いての食事などにも使用が可能です。
休日を充実させてくれるエクステリア製品とも言えるでしょう。
子供の遊び場としても安心して使える
カーポートバルコニーは子供の遊び場としても活用が可能です。
面積的に広くて強度的にも十分なので、子供用のビニールプールを出して遊ばせることもできます。
都市部の狭い敷地の家では、駐車スペースをやりくりして子供の遊び場を作るケースが少なくありません。
駐車場から車を出してプールを出すケースも見られるほどです。
その点、カーポートバルコニーであれば子供のための広い遊び場が作れます。
家族で楽しめる時間も増えることでしょう。
カーポートバルコニーのデメリット

次に、カーポートバルコニーのデメリットについて解説します。
設置費用が高額
第1のデメリットは費用が高額である点でしょう。
製品にもよりますが400万円を超えるタイプもあります。
これは構造を見るならば納得せざるを得ないとも思われます。
と言うのも、カーポートバルコニーのカーポート部分にはスチールの折版が使われているタイプがありますし、アルミの構造部材も太いものが使われているからです。
そのために価格が膨らんでしまいます。
ちなみに、アルミ材が素材としては鉄の10倍以上の価格です。
それだけの価格の素材で大型の構造物を組むので、製品価格も高くなるのです。
ただし、アルミはサビにくい特性があり、きれいな状態で長期間使える点がメリットになります。
スチール材もメッキで長く使えますが、どうしてもサビが出るのでアルミほど美しくはありません。
アルミのメリットを考えると、コスト高は仕方がないと言えるかも知れません。
コーディネートが難しい
エクステリアのコーディネートは全体で作るものです。
それぞれの持ち味を生かしながら全体のハーモニーを奏でるイメージと言えます。
そのため、1つのアイテムの存在感が大きすぎると、他のアイテムの存在感が消されてしまい、不協和音となりやすいです。
例えば、レトロな味を持つ鋳物門扉と組み合わせたらどうでしょうか。
カーポートバルコニーの直線部分の主張が大きいため、レトロさは薄らいでしまうことでしょう。
コーディネートはやはり簡単ではありません。
防犯対策が必要
窃盗をはじめとする侵入犯罪の予防は「隠れる場所を無くす」ことが非常に大切です。
隠れる場所を作った場合には、侵入者はその部分に潜むことがあるからです。
カーポートバルコニーも隠れる場所を作りやすいアイテムです。
駐車した車の陰に潜まれると、外から見えない場合が考えられます。
また、バルコニー部分によじ登られると、窓サッシを破られる可能性もあります。
そのため、他のエクステリアよりも高度な防犯対策が必要です。
当然ながら、その防犯にもコストが掛かってしまいます。
1階が暗くなる場合がある
カーポートバルコニーはバルコニー部分を広く作ることがメリットの1つです。
しかし、バルコニー部分を広く作るならば、下の部分がバルコニーの陰になってしまい、暗くなってしまいます。
これは、1階の部屋で過ごす人にとってはデメリットです。
例えば、1階が親世帯、2階が子世帯の2世帯住宅にカーポートバルコニーを付けるのであれば、1階はバルコニーの陰になるでしょう。
親世帯の部屋は暗くなってしまいます。
デッキ材の表面温度の上昇があり得る
カーポートバルコニーのデッキ材には人工木が使われています。
人工木は木材とプラスチックをブレンドした素材のため、表面温度の上昇が考えにくいかも知れません。
しかし、人工木はプラスチックが含まれるので、天然木とは性質が異なります。
環境によっては表面温度の上昇もあり得るのです。
また、昨今の夏場の日射と気温の上昇は、過去の記録を塗り替えるレベルです。
デッキ材の表面温度の上昇は避けることができません。
当然ながら、表面温度が上がり過ぎるとヤケドのリスクが高まるため危険です。
おすすめの組み合わせると便利なアイテム

カーポートバルコニーはそれだけで便利なのですが、組み合わせて使うと更に便利になるアイテムがあります。
ここでは、組み合わせて使うと便利なアイテムを紹介しましょう。
人工芝
人工芝には肌触りの良いものがあります。
バルコニー上に敷くと寝転がることもできるので、より気持ちの良い場所になります。
子供の遊び場としても使えるのでおすすめです。
ちなみに、人工芝は部分的に敷くことも可能です。
用途に合わせてスペースを区切ることもできます。
ただし、人工芝を選ぶ際には透水穴が開いているかを確認しなければいけません。
仮に、透水穴の開いていない人工芝であれば水が溜まってしまいます。
芝の長さや感触を確認するだけでなく、透水穴がしっかりと開いているかもチェックしましょう。
ベランダ屋根
ベランダ屋根をバルコニー部分に設置すると、直射日光を緩和してくれるのでおすすめです。
今のベランダ屋根のポリカーボネート屋根材には、熱線遮断の効果を持たせているタイプがあります
デッキ材の表面温度の上昇を緩和してくれます。
ちなみに、柱付きのタイプは柱を立てるバルコニーとの取り合いがあるため設置が難しいのですが、柱のないタイプであれば設置が可能です。
出幅サイズは限られますが、心地よい空間を作ってくれることでしょう。
オーニング
オーニングもベランダ屋根と同様に日陰を作り、直射日光を緩和します。
また、オーニングの特徴は使わないときには巻き取って収納できる点にあります。
電動でリモコンが使えるタイプもあるので、収納も楽にできます。
照明器
照明器があれば夜間でも使用ができるようになります。
今では後付け可能なソーラーライトもあります。
デッキ部分に設置すれば、夜間も楽しめるスペースとなるでしょう。
防犯カメラ
前述のように、カーポートバルコニーは防犯性が問題になります。
そのため、防犯対策は高レベルのものが必要です。
その点で防犯カメラの設置が非常に重要です。
防犯カメラが設置してあれば、不審者を撮影するだけでなく、侵入者を威嚇することも可能です。
侵入を諦めさせる点でも有用です。
ちなみに、防犯カメラと併設して炎センサーもあれば更に防犯性がアップします。
炎を検知すれば威嚇音を出すことも可能なので、放火を防ぎます。
センサーライト
センサーライトも防犯上有効です。
威嚇効果を持つので、侵入者対策に役立ちます。
特に、カーポートの下は物陰になりやすいので恰好の隠れ場になります。
センサーライトは威嚇に効果的なアイテムです。
侵入者の威嚇に役立つことでしょう。
カーポートバルコニーの使用上の注意点

カーポートバルコニーは構造強度が高い製品です。
また、デッキ部分も高品質の素材を使っています。
しかし、どんな使い方をしても良いとは限りません。
そこで、ここではカーポートバルコニーの使用上の注意点を挙げてみましょう。
雪下ろしが必要
カーポートバルコニーの構造は非常に強く、平米あたり約450kgレベルの積載にも耐えるタイプもあるほどです。
そのため、デッキの床面に雪が積もっても構造的にはあまり問題はありません。
しかし、ある程度積もった場合には雪下ろしをすべきです。
これは、窓サッシに影響し得るためです。
壁付けタイプのデッキ部分に雪が積もった場合には、窓サッシの開閉にも影響し得ます。
例えば、閉めたサッシが開かない…といった現象です。
また、雪が溶けた水は下に流れますが、サッシの下枠から染み出すこともあり得ます。
そのような事態を避けるためにも雪下ろしは必要です。
積もる前に除雪をしましょう。
重量物を置く場合
ユーティリティスペースには時として重量物を置くこともあるでしょう。
例えば、スチール製の物置を設置して中に重量物を収納する場合です。
この場合は物置と中の物の重量が物置の下端に集中して加わります。
その場合デッキ材を痛める可能性があるため、下に加わる力を分散させなければいけません。
具体的な手段としては、厚めの板を介して設置することです。
物置全体の重量による荷重が板の面積分だけ分散されるので、デッキ材を痛めるリスクを減らせます
重量物を置く場合には、荷重の分散に気を付けましょう。
火炎を使う調理機器の使用について
ユーティリティスペースがあると知人を招いてバーベキューと、楽しみにする人も多いと思いますが、人工木は樹脂製品なので火には弱いです。
火炎を使う調理器具は使うべきではありません。
「デッキ材には自己消火性と書いているから燃えないのだろう」と判断する人が中にはいますが、これは判断が外れています。
自己消火性とは火元を離せば火が消えるのであって、火元が近ければ燃えるのです。
もしかすると「調理器具を倒さなければ大丈夫」と思うかも知れませんが、これも懸命な判断とは言いにくいです。
火炎を使う器具は避けましょう。
施工上の注意

ここではカーポートバルコニーの施工上の注意を取り上げます。
施工上の注意なので業者に任せればよい…と考えるのは良くありません。
施主の立場としても、しっかりと把握しておくことが大切です。
防犯対策
前にも述べた通り、カーポートバルコニーは防犯対策が非常に大切です。
そのためには、単にカメラやライトを設置するだけでなく、防犯対策の勉強もすべきでしょう。
例えば、窃盗犯の侵入手口を調べれば、どのような部分を補強すれば良いかが分かります。
また、侵入経路が分かれば、警戒すべき位置のヒントにもなります。
他にも、警備会社の起用も考えるべきかも知れません。
いずれにせよ、安全性は第一に優先されなければいけません。
対策は念には念を入れて立てましょう。
隣家への配慮
大型のエクステリア製品を設置する時には隣家への配慮を忘れてはいけません。
降雪や日照などでトラブルになり得るからです。
カーポートバルコニーも大型の構造物ですので隣家への配慮が求められます。
カーポートバルコニーの場合は、特に日射についての注意が必要です。
設置位置を隣地境界から離すなどをして、隣家の日照を確保しましょう。
ちなみに、仮に隣家とトラブルになって撤去せざるを得なくなった場合には、設置費用がそのまま損することになります。
カーポートバルコニーは数百万円にもなる製品です。
被る経済的損失は破壊的とも言えるレベルです。
排水ができるか
排水ができるか否かも非常に大切な問題です。
バルコニー部分は雨どいがあるので水は流れるのですが、屋根全体に降る雨が一気に流れるので適切な排水対策を打たなければいけません。
設置する際には、土地に適切な勾配が作られているかも確認しましょう。
信頼のできる業者を選ぶ
カーポートバルコニーは大型の構造物なのでDIYでの施工は非常に困難です。
施工精度が必要なだけでなく、部材が重量物。組み立ては簡単ではありません。
そのため、必然的に業者に依頼することになるのですが、業者選定には細心の注意を払う必要があります。
施工には確認申請も必要なので、トータルで頼めるレベルの信頼のおける業者を選ばなければいけません。
仮に、悪質な業者に遭うならば、手抜き工事どころか建築確認を飛ばして施工される可能性すらあります。
そうなると、後で物理的な不具合が生じたり、自治体から指導が来たりもし得ます。
施工実績や口コミ情報を確認して、最善の業者に相談しましょう。
相見積もりを取る
前述のように、カーポートバルコニーは高額の製品です。
そのため、コスト削減が課題となります。
価格を抑えるためには複数の業者から相見積もりを取るべきです。
会社によってメーカーから仕入れる価格が違う場合もありますし、施工費用が違う場合もあるからです。
また、見積書は金額だけでなく明細もチェックしましょう。
見積書の明細には、どの部分にどれだけの費用が発生しているかが分かります。
工事費があまりにも安すぎる業者は要注意です。
状況にもよりますが、悪質な場合もあるからです。
まとめ
カーポートバルコニーについて取り上げました。
製品の概要からメリット・デメリットが掴めたことと思います。
また、意外に注意点が多いことに驚いた人もいるのではないでしょうか。
カーポートバルコニーは他のエクステリア製品とは性格が異なります。
信頼できる業者を見つけて、防犯や安全性など、自宅に使えるかをトータル的に検討することが不可欠となるでしょう。










