外構工事には多額の費用が掛かります。
そのため、失敗は決してするべきではありません。

しかし、失敗がないように計画を立てたとしても「こんなはずではなかったのに…」というケースはあります。

カーポートを建てた後で「やっぱり必要なかった」と感じた人は少なからずいるようです。
カーポートは大きな構造物ですので、後悔は大きかったのではないかと思います。
それではカーポートは本当に必要がないのでしょうか。

ここではカーポートが無いとどうなるかを考えながら、カーポートの種類やあった方が良い世帯・無くても良い世帯について解説します。

カーポートが無いとどうなるか

カーポートが無いとどうなるか

カーポートを建てた後で「やっぱり必要なかった」と感じた人は、「カーポートが無いとどうなるか」についてあまり考えなかったのかも知れません。

そこで、ここではカーポートが無かったならばどのような事態になるかを取り上げましょう。

車が汚れやすくなる

カーポートは雨から車を守ることが目的の1つです。
設置をすれば、雨や鳥のフンなどから車を守ります。

しかし、カーポートを撤去するならば、雨晒しになってしまいます。
その結果、車には雨が直接かかるようになりますし、鳥のフンの防御もできません。
つまり、それだけ車が汚れやすくなるのです。

ちなみに、車の掃除は意外に手間と時間が必要です。
また、汚れによっては簡単には落ちないものもあります。

カーポートがあればそのような煩わしい掃除の必要がありません。

雪かきが必要となる

雪の朝などは車の上に積もった雪でウンザリすることも多いのではないでしょうか。

車の屋根の上に積もった雪は危険なので、車に乗る前に降ろさなければいけません。
また、車の周囲の雪かきも必要となるでしょう。

しかし、カーポートがあれば車を覆うので、このような弊害は発生しません。
朝の支度などもスムーズに進むのです。

カーポートを撤去したならば車の雪下ろしと雪かきが必要です。

乗車・降車の時に濡れる

カーポートがあれば、乗車・降車のときに雨に濡れません。
屋根が雨から守ってくれるからです。

屋根の面積と車の大きさにもよりますが、屋根面積に余裕があれば濡れずに済みます。
その点、カーポートが無くても傘があれば濡れずに済むと思うかも知れませんが、強い雨の場合は、そのようには運びません。

「傘で大丈夫」と考えてカーポートを撤去した人は、雨に濡れながらウンザリしているかも知れません。

夏場は車内の気温が上がる

カーポートの屋根はポリカーボネート樹脂かスチールの折板、そしてアルミ材が一般的です。

この内、ポリカーボネートには熱線遮断の機能があり、屋根の下の温度上昇を防ぎます。
また、スチール折板やアルミ材であれば完全に日陰にするので、温度上昇はそれほどありません。

このように、カーポートの屋根は温度上昇を防ぎます。
夏場の日射を考えれば温度上昇を抑える機能は非常に重要です。

しかし、仮にカーポートを撤去していたならば、日射の影響をダイレクトに受けるので車内は非常に熱くなります。

地域と季節にもよりますが、車のダッシュボードは50℃を超えることもあります。

劣化しやすくなる

プラスチックやゴムは年月が経つと劣化してしまいます。
ある素材はヒビ割れを起こすでしょうし、別の素材は変色することでしょう。

この原因となるのが太陽光に含まれる紫外線です。

今のカーポートの屋根の素材はポリカーボネートとスチール折板、そしてアルミ材です。
この内、ポリカーボネートは紫外線遮断の機能を持っているため物質の劣化を遅らせます。

また、折板やアルミ材は完全に影にするので紫外線は届きません。
つまり、カーポートには劣化を抑える効果があるのです。

その一方で、カーポートがないと紫外線が降り注ぎます。

カーポートを設置する場合の注意点

カーポートを設置する場合の注意点

カーポートのある状態とない状態では多くの点が異なるのですが、設置のためには注意が必要です。

ここでは、カーポート設置の注意点を解説します。

建築確認について

建築物を作るためには行政の確認が必要で、受けるためには申請が必要です。

これを確認申請と呼び、10㎡以上の建築物が義務化されています。
カーポートでも必要な場合があるので注意が必要です。

ただ、カーポートであっても10㎡にならなければ確認申請は必要ありません。
また、カーポートは「屋根の庇から1mは建築面積から減算して良い」となっているため、1台用であれば確認申請はほぼ必要ないでしょう。

ただし、設置する場所は防火地域か準防火地域であれば、建築確認は必須です。

建ぺい率の問題

建ぺい率を超えないようにも注意をしなければいけません。

なお、前述の通り、カーポートは「屋根の庇から1mは建築面積から減算して良い」となっていますが、これは建ぺい率にも適用されます。

ただし、この適用は次の4点をクリアする必要があります。

  • 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
  • 柱の間隔が2m以上であること
  • 天井の高さが2.1m以上であること
  • 地階を除く階数が1であること

隣家への影響がないように

カーポートは大型の構造物です。
そのような大型構造物を建てるときに注意が必要な点が「隣家」についてです。

大型の構造物を作るならば、様々な弊害を及ぼすことがあるからです。
例えば日射の問題。カーポートは日陰を作ってくれるのですが、同時に隣家の日射も奪ってしまいます。
また、隣地境界ギリギリに片流れカーポートを建てた場合、降雪時に屋根の雪が隣家に落ちてしまいます。

当然ながら、このような事態はトラブルの元です。
可能な限り配慮をして、影響の無い場所に建てることが大切です。

強度区分に注意

カーポートには強度区分があるので、何でも付けられる訳ではありません。
設置する場所の条件によって変える必要があります。

良い例が積雪強度の区分。エクステリアのカタログを見ると「積雪20センチ」といった表記がありますが、これはカーポートの積雪荷重強度です。
記載されている性能を超えてしまうと破損のリスクが上がってしまうのです。

ちなみに、カタログには積雪に併せて風圧力に関する記載もあります。
台風が多く来る地域であれば、風圧に関しても確認が必要です。

エクステリアのコーディネート

エクステリアは敷地の外から見える部分です。
その家の印象を付けるので、非常に重要な箇所と言えます。

そのようなエクステリアですが、スタイリッシュに見せるためにはコーディネートを考えなければいけません。

例えば、丸みが掛かった柔らかいフォルムのカーポートを付けるならば、他のエクステリアも同じイメージのデザインを設置しなければいけないでしょう。

仮にコーディネートを考えず、形も色もバラバラだった場合には、家は不格好になってしまいます。

カーポートの種類

カーポートの種類

ここでカーポートの種類について挙げてみましょう。

カーポートの種類は主に「構造・デザイン」「屋根材」「強度」によって区分されます。

また、複数のカーポートの接続も可能で、これにも種類があります。

オプション品もあるので、併せて解説しましょう。

構造・デザインでの区分

カーポートの基本構造は支柱を立てて梁材を接続、その上で垂木材や母屋材を接続して屋根を構成します。

ただ、デザインや機能によって柱と梁の接続構造を変えて、別のデザインとしているのです。

主なタイプとしては「片流れ式」「後方支持式」「両側支持式」の3種類があります。

片流れ式

片流れ式とは屋根の1方の側面に柱が付くタイプのカーポートです。
支柱に接続した梁の上に屋根材を作ります。

カーポートでは最もポピュラーな形態で、価格はリーズナブルです。

また、特徴としては車を斜め方向から出し入れ可能な点、デザインが開放的な点があります。

飽きの来ないデザインで、他のエクステリアとの相性も良いです。

後方支持式

後方支持式とは屋根の後方に柱が付くタイプのカーポートです。

柱が後方に付くので、車を左右どちら側からも出し入れが可能となります。

また、支柱が後方に付くため、デザインが開放的となります。

両側支持式

両側支持式とは屋根の左右に柱が付くタイプのカーポートです。

構造的に非常に安定しているのが大きな特徴と言えるでしょう。

カーポートには雪がメートル単位で降る地域用のタイプがありますが、これらは基本的には両側支持式です。

屋根材での区分

カーポートの屋根材での区分も可能です。

「ポリカーボネート板」「スチール折板」「アルミ材」です。

ポリカーボネート板

ポリカーボネート板は非常に高い強度と柔軟性を併せ持つ樹脂板です。

エクステリアにおいては、カーポートの他にもテラス屋根の屋根材としても使われています。

また、カーポートのポリカーボネート板には、熱線遮断や紫外線カットなどの機能を持たせているものもあります。

車内の気温上昇や劣化を抑えることが可能です。

スチール折板

スチール折板は鉄板を折り曲げて作った屋根材です。

強度が高い点が特徴であり、工場のような大型の建築物の屋根材としても使われています。

アルミ材

アルミはカーポートの構造部材に使われる素材ですが、屋根材にも使われます。

特徴はシャープなフォルムになる点です。
外構全体をシャープな雰囲気にしたいときにおすすめです。

ただ、アルミ材はコストが高い素材なので、アルミ屋根のカーポートもそれに追随し価格が高くなる場合が多いです。

強度での区分

カーポートには強度による区分も可能です。

区分は積雪量と基準風速によるものです。

積雪量

カーポートは積雪量での強度区分があります。

日本は地域によって積雪量が大きく変わり、それに合わせた強度がカーポートにも求められるからです。

区分の内訳は基本的には以下の3種類となります。

  • 一般地域用:積雪20cm対応
  • 積雪地域用:積雪50cm対応
  • 豪雪地域用:積雪1m~2m対応

ただし、この時の雪は新雪の場合(比重0.3)で計算しています。

雪に質によっては0.3以上の比重の場合がありますので注意が必要です。

基準風速

カーポートは耐風圧強度によっても分けられます。

一般的なカーポートは38m/秒程度の耐風圧強ですが、高強度になると46m/秒程度まで対応が可能です。

これは風が強い地域があるための区分です。

例えば、九州や沖縄などの地域では台風による被害が少なくありません。
一般的なカーポートでは台風に耐えられなくなるため、高強度の製品があります。

組み合わせについて

カーポートは複数台接続することが可能です。

縦の接続と横の接続の2つに分けられます。

縦連棟

カーポートを前後方向に接続する組み合わせです。

縦に長い土地に設置して、複数台の駐車に対応します。

また、縦連棟には1.5連棟として自転車置き場とする場合もあります。

横連棟(合掌)

カーポートを左右方向に接続する組み合わせです。

また、片流れカーポートの場合には連棟によってY合掌とM合掌に分けられます。

オプション品について

カーポートには機能を拡張するオプション品があります。

ここではカーポートの代表的なオプション品を紹介していきます。

側面パネル

カーポートの柱に取り付けるパネルです。

プライバシー保護に役立ちます。

物干し

カーポートは洗濯物の干し場としても活用が可能です。

物干しは物干し竿を付けるための部品です。

収納棚

支柱に収納棚を取り付けられるタイプもあります。

カー用品を置くときに便利です。

コンセント

カーポートにコンセントを付ける場合があります。

特にEV車にとって充電が可能であるため便利です。

EV車の普及は環境問題の対策として有効な手段です。
今後の普及が予測されるため、カーポートのコンセントも需要が高まると思われます。

カーポートがあった方が良い世帯

カーポートがあった方が良い世帯

カーポートが無いと様々なデメリットを被ってしまいますが、カーポートの製品の性格を考えるならば「あった方が良い世帯」と「無くても良い世帯」があるのは確かです。

そこで、まずは「カーポートがあった方が良い世帯」のタイプについて取り上げて解説します。

子どもがいる世帯

カーポートがあれば雨や雪の日に子どもを濡らさずに済みます。

とくに、ベビーカーが必要な小さい子どものいる世帯ほど、「カーポートがあってよかった」と感じる方も多いようです。

雨の日に車にベビーカーを積み込む時など、屋根があればベビーカーを濡らさずに済むでしょう。

お年寄りがいる世帯

お年寄りがいる世帯もあった方がベターでしょう。

お年寄りにもよりますが、運動能力が落ちてしまい車の乗り降りに時間が掛かる場合があります。

雨天時には傘を差しながらの乗り降りとなるので雨に濡れてしまいます。

その点、カーポートがあれば傘を使わずに乗り降りが可能になるので安心です。

車を大切にしたい世帯

車を大切にしたい世帯はカーポートの設置がおすすめです。

前述のように、カーポートは雨や雪から車を守るだけでなく、鳥のフンなどからも車を守るからです。

特に、鳥のフンは金属の腐食の原因にもなるのでカーポートが必要となります。

カーポートが無くても良い世帯

カーポートがそれほど必要ないと判断されるケースもあるでしょう。

次にカーポートが無くても良い世帯を解説していきます。

家の取得コストを抑えたい世帯

家の取得コストを抑えたい世帯はカーポートが無い方が良いかも知れません。

カーポートは廉価版もありますが、それでも30万円程度の費用は発生してしまいます。
豪雪地域に設置する場合には100万円を超えることもあるでしょう。

コストを抑えたいのに、この費用が加わることを考えると経済的に大きな痛手です。

ローンなどを考えるならば、カーポートの優先度は低くても問題ないと思われます。

車を消耗品と考える世帯

車を消耗品と考えている方の中にはカーポートの必要性を感じない人もいます。

例えば、中古車を乗り換えながら乗っている人です。
中古車を乗り潰すことを前提としいているので、車をそれほどきれいに保つ必要を感じず、カーポートもいらないと判断している方も多いです。

すぐに乗り換えを考えている方にはカーポートはそこまで必要ないかもしれません。

カーポートが必要か不必要かの判断基準

カーポートが必要か不必要かの判断基準

カーポートの必要性を冷静に考えるならば、多角的であるべきです。

衝動的に「要らない」と判断すると後悔することにもつながります。

そこで、カーポートが必要かどうかの判断基準を考えてみましょう。

車の重要性

人によって車をどれだけ大切にするかが異なります。
それによってカーポートの必要性も変わり、判断基準も変わります。

例えば車が趣味の人であれば、車を汚さないように気を付けることでしょう。
そのような人にはカーポートが必要です。

また、違った角度からも考えれば、個人タクシーのような場合も車が大切になるでしょう。
車が汚れている場合は印象が悪く、場合によっては敬遠もされ得るからです。

逆に、「車に費用を掛けたくない」という人がいるのも確かです。

費用対効果

カーポートは利便性の高いアイテムです。

しかし、その利便性がコストに合わないとする判断も成立します。

例えば、カーポートは横殴りの雨に弱いです。
車の屋根は守れたとしても、横は雨水で濡れてしまっていることがほとんどです。

それを見て「横殴りの雨に弱いのであれば、どうせ掃除には手間と費用がかかるから要らない」という考え方もあります。

そのような場合には、カーポートの必要性を感じず不必要と結論を出すことと思われます。

経済性

カーポートは価格的に幅が広いです。

安価なものであれば30万円程度となりますが、高額になれば100万円を超えます。

この金額は簡単に動かせるものではありません。
廉価版であっても手を延ばしにくい世帯もあることでしょう。

そのため、純粋に経済的側面からカーポートの必要性について判断されることも少なくありません。
純粋に「安いから買う」「高いから買わない」と考えられるのです。

ちなみに、カーポートの設置にはローンを組むことも可能です。
しかし、ローンを組むくらいならばカーポートは必要は無いと考える人もいます。

まとめ

カーポートについて、「いるかいらないか」を取り上げました。

カーポートは利便性の高いアイテムですが、必要性の判断は各世帯で考えなければいけません。

自宅の状態とライフスタイルを見て購入を判断しましょう。