カーポートは屋根だけのエクステリア製品です。

車の保護には役に立つのですが、屋根だけでは寂しく感じる人は少なくないのではないでしょうか。

敷地の外からの視線や、隣家からの視線が気になった人も少なくないと思います。
また、見られることに防犯性の問題を感じる人もいることでしょう。

そのような場合に役立つのは目隠しです。
後付けで目隠しができるようになれば、視線が気になることもありません。

しかし、目隠しにはデメリットもあるので注意が必要です。

そこで、今回はカーポートの後付け目隠しを取り上げ、メリットとデメリット、種類や費用相場などを中心に解説します。

カーポートに目隠しをするメリット

カーポートに目隠しをするメリット・デメリット

まずはカーポートに目隠しをするメリットを挙げていきます。

プライバシーが守られる

第1に挙げられるのがプライバシーの保護です。

冒頭にも挙げたように、車に乗るときに通行人や隣家の視線が気になった人もいるかと思います。

また、車のナンバープレートを見られることに抵抗を感じる人もいることでしょう。

他にも、カーポート越しに家の中を見られることもあるかと思われます。
そのような状態は行動まで知られるので良くありません。

その点、カーポートに目隠しを設置すれば外から見られることもなく、プライバシーは保護されます。

防犯性の向上

次に挙げられるのが防犯性の向上です。

カーポートはガレージと異なり、車を屋根だけで守るエクステリア製品です。

カーポートの横はガラ開きになっているので防犯性の面では良くありません。
窃盗や車上荒らしが来たとしても対処の手段がそのままではほとんどないのです。

その点、目隠しを設置すれば侵入が困難になります。

また、敷地内を覗かれることも無くなるので不審者が調べることも困難です。

窃盗犯は下調べを必ずすると言いますが、下調べの段階で諦めさせることができるのです。

風雨から車を守れる

風雨から車を守れるのも目隠しのメリットの1つです。

カーポートは確かに雨から車を守るのですが、横殴りの雨には弱いため車は汚れてしまいます。

車を特に大切にする人にとっては、雨風は憎らしくも思えることでしょう。
しかし、カーポートに目隠しを設置すれば風雨を防ぐので、車はあまり汚れません。

車内の温度上昇を抑制

夏場の車内の温度上昇は過酷です。

特に直射日光が当たる部分は温度上昇が顕著で、熱くて手で触れなくなることも少なくありません。

カーポートには熱線遮断ができる屋根材はありますが、それでも熱くなるケースはあります。
横からの日射は防げないからです。

その点、目隠しを設置するならば横からの日光もカットするので、それほど熱くはなりません。

小さい子供が車の車体に触れた場合はヤケドのリスクさえあります。

しかし、目隠しをして直射日光を防げば、そのようなリスクも低減します。

カーポートに目隠しをするデメリット

次にカーポートに目隠しをする際のデメリットを挙げていきます。

敷地が狭く感じる場合がある

カーポートに目隠しを設置すると敷地が狭く感じられる場合があります。

これは視界が狭くなってしまうため。今まで見えていた敷地が見えなくなってしまうからです。

今まで開放的で広く感じていた庭が狭くなってしまった…と嘆く人もいるかも知れませんが、目隠しが視界を妨げる性格がある以上、仕方のないことと言えるかも知れません。

風通しが悪くなる

目隠しは風を通しません。
そのため、駐車スペースの風通しが悪くなってしまいます。

カーポートは物干し場にすることもありますが、風通しの面からすると目隠しは物干しにとってはデメリットと言えるでしょう。

暗くなる場合がある

目隠しをすると暗くなることがあります。

これは目隠しが光を入らなくするためです。

時間帯によっては日照が感じられなくなることもあるでしょう。

圧迫感を受ける場合がある

目隠しをすると視界が遮られるので、圧迫感を受けることがあります。

これも目隠しによって視界が妨げられるため、狭さと共に圧迫感を感じてしまうのです。

隣家に迷惑を掛ける場合がある

目隠しをすると隣に迷惑を掛ける可能性があります。

特に問題になりそうなのが「日射の問題」です。
隣家の日当たりを悪くする場合があり得るのです。

日射の問題はトラブルになりかねないので注意が必要となるでしょう。

目隠しは後付け可能か

目隠しは後付け可能か

それでは、目隠しの後付けには問題が発生しないのでしょうか。

目隠しの後付けは問題なし

結論から言うならば、カーポートの目隠しは問題なく設置が可能です。

後述する注意点はありますが、適切に取り付けるならば、隣家に迷惑を掛けることもありませんし、十分な強度も出せます。

ただし、取り付けには十分な技術と経験が必要です。
「ネジが止まるから自分でも組み立てはできる」と言って、適当に組み立てるのは危険です。
信頼できる業者に相談しましょう。

ちなみに、目隠しの設置はDIYでも可能です。
ただ、高い技量が要求されることは言うまでもありません。

例えば、ネジを締める場合であっても、締める力が適切でなければネジを破断させてしまいますし、引き抜いてしまうこともあります。
場合によっては風で目隠しが飛んでしまうこともあるので、技術に自信がない場合には迷わず業者に相談しましょう。

目隠しの種類と費用相場

ここで、目隠しの種類と費用相場について取り上げましょう。

目隠しの種類は多いですが、ここでは以下のものについて紹介します。

①側面パネル
②目隠しフェンス
③塀
④ゲート
⑤シャッター
⑥緑のカーテン
⑦植栽
⑧物置

それぞれについて説明しましょう。

側面パネル

カーポートの側面パネルはオプション品の扱いです。

エクステリアメーカー各社が商品として持っています。

側面パネルの部材は各社とも外観上は似ていますが、組み立て部分の構造が違う場合があります。
メーカー間での互換性は無いと考えた方がベターでしょう。

また、側面パネルは基本的にはポリカーボネート板が付きますが、マット調のタイプや不透明なタイプもあるので、状況に合わせて変更が可能です。

ちなみに、側面パネルの価格相場は後付けで10~15万円程度が相場です。

目隠しフェンス

目隠しフェンスは隙間のないタイプのフェンスです。

素材としてはアルミ形材を組み立てたタイプとウッド素材のタイプがあります。
設置方法はブロック塀か独立基礎で設置します。

目隠しフェンスの注意点は風圧力に弱い点です。
風圧力をフェンスの全面で受けるので、フェンスに加わる力は非常に大きくなります。
そのため、柱部分の構造には注意が必要です。

ちなみに、価格は1mあたりで5,000~4万円ほどです。

ただし、基礎の工事で増金が発生するケースもあるため注意が必要です。

塀には様々な仕様があります。

ポピュラーなものはブロック塀ですが、その他にも現場打コンクリートなどもあります。

ただ、カーポートの目隠しのレベルではブロック塀が多いことでしょう。

さて、コンクリートブロックの塀は施工に手間が掛かります。
配筋が不可欠ですし、控え壁の必要性もあります。

また、デザイン性も今のデザインの様式とはマッチがしにくいです。
ちなみに、ブロック塀の価格は1㎡あたり17,000~25,000円程度です。

ゲート

カーポートのゲートで目隠しになるのは引戸のタイプが多いです。

引戸の構造は単純で、目隠しパネルの下にキャスターがあり、レールの上をスライドして開閉する恰好になります。

また、引戸の場合には扉を収納するスペースが必要です。
概ね開口部の2倍の収納部分をとなります。

施工はコンクリートの基礎を作ってレールを敷き、扉を支持する柱を立てて、レールの上に扉を乗せたら完成です。

ちなみに、引戸の価格は20~30万円が相場です。

シャッター

シャッターはゲート化されていて、車の前面を塞げます。

車の開口部にシャッターを巻き取るケース部分が合わせてあるので構造体としては大型です。

シャッターの特徴は防犯性が非常に高い点にあり、プライバシーだけでなく車上荒らしなどからも車を守ってくれます。

今の車上荒らしは手口が巧妙ですが、シャッターは侵入者を寄せ付けません。

また、シャッターには電動のタイプがあってリモコンでの操作も可能。利便性も非常に高いです。

ちなみに価格は非常に高く、60万円~200万円となっています。

緑のカーテン

緑のカーテンも目隠しとして有用です。

プライバシーを守るたけでなく、目を楽しませてくれます。
ガーデニングを趣味にしている人には特におすすめの目隠しです。

ただし、水やりや肥料をやるなどの手間が必要です。
世話を怠ると枯れてしまいます。

また、緑のカーテンにはプラスチック製のタイプもあります。味わいは落ちますが、世話の必要はありません。

生垣

生垣も目隠しとして活用が可能です。

イメージとしては緑のカーテンと似ていますが、こちらはつる草ではなく木を使うことになります。

生垣の種類は様々で、和風建築に合うものから洋風建築に合うものまで様々です。

カーポートの場合は洋風建築に合うものが良いでしょう。
また、生垣は花を楽しむことが可能です。

物置

物置も目隠しとして活用ができます。

収納スペースと兼用ができるので一石二鳥と言えるでしょう。

車に関する用具を入れると良いかも知れません。

必要となるサイズとサイズはカーポートの大きさにもよるのでケースバイケースとなります。

価格もサイズによって変わるので、一概には言えません。都度の見積りとなることでしょう。

目隠しの施工について

ここで目隠しの施工について紹介します。

目隠しはカーポートにそのまま設置する場合と、カーポートから独立させて設置する場合があります

設置方法が異なるので、両者について解説しましょう。

カーポートに取り付ける場合

側面パネルのようなカーポートのオプション品であれば、そのメーカーの出している取付説明書に準じて行います。

基本的にはネジで取り付けますが、パネルに柱が必要な場合には基礎の工事が必要です。

また、メーカーのオプションでない目隠しパネルを付ける場合…例えばウッドのパネルなどを付ける場合には、基本的には柱にネジで締結します。

アルミ材はネジ用の穴を開ければ締結可能なネジがあります。(タッピンネジやテクスネジなど)
電動ドライバーのトルク管理(回転のパワー)などに注意が必要です。

締結力を上げるためにはネジの本数と太さ、そしてアルミ材の厚さがポイントとなります。

十分な強度を出すためにはプロの腕が必要です。

カーポートと独立して設置する場合

カーポートと独立して設置する目隠しは、カーポートとは関係がないので、それぞれの施工方法に準じて設置します。

例えば、物置は設置したいスペースに組み立てます。

また、ブロック塀に目隠しフェンスを付ける場合には、ブロック塀の上に柱を差してフェンスを取り付ければ完成です。

ただし、基礎を据える目隠しの施工には注意点があります。
それはカーポートの基礎との干渉です。

ブロック塀は布基礎を築いた上にコンクリートブロックを重ねて作ります。
その場合、カーポートが隣地境界に近いと、布基礎を据えるスペースが取れない可能性も出て来るのです。

目隠しを設置する場合の注意点

カーポートの目隠しを設置する場合の注意点

ここでは、カーポートに目隠しを設置する際の注意点を挙げていきます。

設置位置と高さ

目隠しの設置には位置と高さに注意をしなければいけません。

位置が悪いとドアの開閉にも支障が出ますし、高さが適切でないと隣から見えてしまいます。

また、場合によっては道路からも中が見えてしまうかも知れません。

そのような状況を回避するためには設置位置と高さの検討が不可欠です。

覗き込まれる位置を入念にチェックして、ドア開閉などに支障が発生しないように取り付けましょう。

風の状況

風の状況の確認も目隠し設置の際には非常に重要です。

これは目隠しが風圧力をダイレクトに受けてしまうためです。
カーポートの側面パネルなどにおいては特に注意が必要です。

カーポートの側面パネルは風を受けた時に、パネル全体に風圧力が加わります。

しかし、最終的にはパネルを締結しているネジに集中して加わるケースが多く、ネジの部分から破損することがあるのです。

ちなみに、パネルが破損したならば、破損した部材が隣家に飛んで行くかも知れません。

物損事故のリスクもあるので、十分に警戒をしなければいけないでしょう

目隠しを設置する時には風の状況を鑑み、強度に余裕を持たせることが必要です。

隣家への配慮

目隠しを設置する際には隣家への配慮が非常に重要となります。

これは目隠しが日照を遮るからです。
そのため、隣家を暗くしてしまったり、圧迫感を与えてしまったりすることが考えられます。

プライバシーの保護のためには目隠しは必要ですが、人間関係にヒビを入れないためにも隣家への配慮が必要です。

位置や大きさを工夫して、隣家に迷惑を掛けないようにしましょう。

柱の強度

ブロック塀に目隠しフェンスを設置する場合には、フェンスの柱の強度に注意をしなければいけません。

これは、強風時の風圧力が柱に加わるためです。

一般的な格子フェンスは風が格子の隙間を抜けるので、それほど風圧力は加わりません。

しかし、目隠しフェンスの場合には隙間がないので、風圧力がダイレクトに加わります。

そして、フェンスの柱にその風圧力が柱を曲げる方向に働きます。

この時、柱に十分な強度が無いと、柱が折れてしまいます。

柱の強度

ブロック塀に目隠しフェンスを設置する場合には、フェンスの柱の強度に注意をしなければいけません。

これは、強風時の風圧力が柱に加わるためです。

一般的な格子フェンスは風が格子の隙間を抜けるので、それほど風圧力は加わりません。

しかし、目隠しフェンスの場合には隙間がないので、風圧力がダイレクトに加わります。

そして、フェンスの柱にその風圧力が柱を曲げる方向に働きます。

この時、柱に十分な強度が無いと、柱が折れてしまいます。

柱の強度の確認は重要なのです。

コンクリートブロックの仕様

目隠しフェンスを設置する場合には、コンクリートブロックの仕様にも注意が必要となるでしょう。

これは、強風時にはフェンス柱ではなくてコンクリートブロックの方が壊れる可能性があるからです。

例えば、フェンスの柱の強度を勘案して太いタイプを使った場合、柱の根本のコンクリート部分が薄くなってしまいます。

その時にフェンスに力が加わった場合、柱の根本のコンクリート部分が破壊することもあるのです。

なお、コンクリートブロックの破壊はフェンスの柱の埋め込み量によっても左右されます。

判断が難しい場合もあるので、技術力の確かな業者に依頼する方がベターでしょう。

技術力の確かな業者であるか

目隠しの設置はネジで止めるだけだから簡単…に見えるかも知れませんが、実際にはそうではありません。
取り付け施工には技術力が要求されます。

目隠しは風圧力がダイレクトに加わるので、強風に耐えるだけの強度がなくてはいけないからです。
そのため、カーポートに止めるネジの太さや本数などを決めるには技術と経験がなければいけません。

ちなみに、ネジは締結力と併せて打つ位置に関しても留意しなければいけません。
特にねじれる力や曲げる力が加わる位置の場合はネジの配置が非常に重要だからです。

力の分散をさせて強度を保持するためには、やはり経験を積んだプロの技術が必要です。

コストは問題ないか

コストの確認も非常に大切です。
特に設置箇所が複数になる場合には費用が膨らむので、注意が必要となるでしょう。

コストの検討には複数の業者から相見積もりを取るべきです。
相見積もりによってコストの安い業者を選べるようになり、適正価格も分かるからです。

ちなみに、時として極端に安い見積りを出して来る業者がありますが、そのような業者には注意をしなければいけません。

安過ぎる業者は手抜き工事をする可能性すらあるからです。
良い工事をするためには、適正価格の範囲内での安い業者を選びましょう。

メンテナンス性

メンテナンス性に対する配慮も注意が必要です。

例えば、植栽や緑のカーテンの場合は日射の条件や水やりなどを考えなければいけません。
葉が枯れ落ちた場合の掃除方法なども準備が必要となるでしょう。

また、ウッド製品のように定期的な塗装が必要な目隠しは、塗装を容易にできるようにしなければいけません。
塗装をなおざりにするのであれば、カビが生えてしまったり割れてしまうこともあります。

エクステリアにおいてメンテナンスは非常に大切です。
目隠しにおいても設置する前にメンテナンス手段を考えておきましょう。

まとめ

カーポートの目隠しについて取り上げました。

目隠しには側面パネルや目隠しフェンスだけでなく、さまざまな物が使えることが分かったことと思います。

また、目隠しのメリットとデメリットに気が付いた人も多いのではないでしょうか。

カーポートの目隠しはプライバシー保護の点で重要ですが、強度などの物理的な検討だけでなく、隣家への配慮などもしなければいけません。

設置に際しては、目隠しそのものの仕様だけでなく、隣家との関係も忘れないようにしましょう。